看護師を一度辞めた方の中にはもう一度看護の現場に復帰したいけど『ブランクが長くて心配…』 『看護師経験が浅くてスキルに自信がない…』など、お悩みの方も多いのではないでしょうか?
職場の人間関係… 看護技術の進歩…
看護師復職に対して、不安は大きいかと思いますが… 大丈夫です。
なぜなら医療現場では慢性的な看護師不足であること、同じようにブランクから復職される看護師さんが沢山いるということです。
しかしブランクが長いとどんな職場を選択すればいいのか迷うと思います。
急性期では仕事についていけるか不安… でも病棟勤務で最低限の医療処置もしていきたい…
慣れたらいずれ夜勤も… という方にピッタリな医療療養病棟は大変おすすめの場所になります。
ブランクが長いため看護師スキルに自信がない方、人間関係に不安がある方、自身の年齢など…
不安要素は様々だと思いますが、この記事を読むことで医療療養型病棟の特徴を知り、なぜブランクのある看護師さんに医療療養型病棟をおすすめするのかお分かりいただけると思います。
医療療養型病棟の特徴
療養病床とは医療保険が適応される医療療養型病棟と介護保険が適応される介護療養型病棟に分けられます。
ちなみに介護療養型医療施設は2024年3月に完全廃止となっているのでで注意しなければいけません。
具体的などんな違いがあるかというと介護療養型は対象が要介護者になりますが医療療養型は要介護にかかわらず慢性期の疾患がある患者さんが対象になります。
医療療養型病棟は急性期の治療を終え、病状が安定したものの引き続き継続的な治療や処置、リハビリが必要な方あるいはターミナルの対象となる患者さんを受け入れる慢性期の病棟になります。
かつての医療療養病棟では社会的入院を受け入れ、看護師は生活の援助を行うことが役割でしたが現在は状況が変化してきています。
診療報酬の改定により、重症度の高い患者さんを多く受け入れるようになりました。
介護療養型病棟と比べ医療依存度が高く、看取りの患者さんも多く入院しています。
患者さんの多くは、高齢のためお看取りの方も多く『死後の処置』も看護師の重要な役割となっています。
医療区分とは?
医療療養型病棟は厚生労働省が作成した病態・処置の状態ランク(医療区分)と介護を要する状態ランク(ADL区分)からなる患者分類にしたがって患者さんが入院しています。
★スモン
★24時間持続して点滴を実施している患者
★中心静脈を実施している患者
★人工呼吸器を使用している患者
★感染症治療のため隔離室管理を必要とする患者
★酸素療法を行っている患者
★パーキンソン病関連疾患
★肺炎治療を行っている患者
★悪性腫瘍(麻薬等の鎮痛コントロールが必要な患者)
★1日8回以上の吸引を実施している患者
★褥瘡に対する治療を実施している患者
★脊椎損傷
医療療養型病棟の対象となる患者
- 急性期治療後で継続的な医療処置が必要な人
- 神経難病等
- 終末期
- 廃用症候群
- 経口摂取困難な人
- リハビリテーションが必要な人
- 在宅療養支援
介護医療病棟の受け皿としての施設でもある介護医療院というものがあります。
2018年に新設され、介護保険適用になります。
長期療養を必要とする要介護者が入院対象となります。
介護保険施設でありながら、医療度が高い傾向になります。
【主な業務内容】
医療療養病棟の看護師の業務内容はバイタル測定・内服薬管理・オムツ交換・入浴介助・食事介助・採血・注射・点滴・経管栄養・吸引・胃管チューブや尿道カテーテル交換・褥瘡や創処置などが主な業務内容になります。
【カンファレンスの実施】
医療療養病棟では定期的なチームミーティングやリハビリスタッフも交えてカンファレンスを実施する場合もあります。
これにより、患者の状態や治療計画の評価や見直しを行ったり、問題点を挙げて対策や情報共有を行いチーム全体での連携を図ります。
【患者の安全管理】
医療療養病棟では、患者の安全管理が重要です。感染症対策や薬物管理、転倒予防など患者の安全を確保するための対策を徹底します。
医療療養病棟で働く看護師の1日のスケジュール(例)
《日勤》
時間 | 仕 事 内 容 |
8:30 | 情報収集・内服薬、点滴の準備・夜勤者からの申し送り |
9:00 | オムツ交換・褥瘡処置・入浴介助 |
10:00 | 吸引・バイタル測定・点滴開始 |
10:45 | 経管栄養の準備 |
11:00 | 吸引・経管栄養開始 |
11:30 | 経口摂取患者の昼食の準備 |
12:00 | 配薬・昼食介助・スタッフ交代で休憩 |
12:45 | 食後の口腔ケア・トイレ誘導 |
13:30 | カンファレンス |
14:00 | 臨検・処置・吸引・記録 |
15:00 | オムツ交換 |
15:45 | 経管栄養の準備 |
16:00 | 吸引・経管栄養開始 |
17:00 | 夜勤者へ申し送り・業務終了 |
《夜勤》
時 間 | 仕 事 内 容 |
16:30 | 情報収集・内服薬、点滴の確認・日勤からの申し送り |
17:00 | 吸引・夕食の準備・食堂への誘導・血糖測定・配薬 |
18:00 | 夕食介助 |
18:45 | 食後の口腔ケア・トイレ誘導 |
19:00 | 吸引・バイタル測定 |
19:30 | スタッフ交代で休憩 |
20:00 | 吸引・体位変換・点滴・眠前薬与薬 |
21:00 | 消灯 |
22:00 | 巡診・吸引・記録 |
23:00 | オムツ交換・体位変換 |
24:00 | スタッフ交代で休憩 |
3:00 | 吸引・オムツ交換 |
5:00 | 経管栄養準備・吸引・経管栄養開始 |
6:00 | 起床・バイタル測定・記録 |
7:00 | 朝食の準備・血糖測定 |
8:00 | 配薬・食事介助 |
8:45 | 日勤者へ申し送り |
9:00 | 業務終了 |
医療療養患者は自力で吐痰できない方が多いため、頻回に喀痰吸引を必要とします。
患者とのコミュニケーションについて
医療療養病棟では患者とのコミュニケーションが重要です。
患者の全身状態や治療についての理解を深めるために丁寧な説明や質問への回答を行います。また患者や家族の意見や要望を尊重し、共有意思決定を行います。
また医療療養病棟は高齢の患者が多く、それに伴って認知症が進行している方が多いのも特徴です。
認知症の症状は非常に多様で、一般的な常識では通じないことも多く、向き合う私たちは対応に振り回され消耗していってしまいます。
認知症の人は、記憶など知的機能の低下により一般常識が通用する「理性の世界から」出てしまい、「感情が支配する世界」に住んでいると考えた方が理解できるでしょう。
医療療養型病棟で働く看護師のメリット・デメリット
メリット
- 残業が少なめ。
- ルーチンワークが多く、イレギュラー対応が少ない。
- 急性期病棟のような慌ただしさがない。
- 看護技術に自信がなくても医療行為は比較的少ないため、注射や点滴などのスキルも焦らず獲得することが出来る。
デメリット
- 高度な医療行為が身に付きにくい。
- オムツ交換やトイレ誘導が多く、体力的な負担が大きい。
- 入浴日は、寝衣交換やベッドメーキング集中的に忙しくなる。
医療療養型病棟看護師に向いている人
- 体力的に自身がありルーティンワークが苦にならない人。
- ケア業務が好きな人。
- 患者さんと長期的に関わることが好きな人。
まとめ
医療療養病棟は急性期の治療を終え、日常生活の援助を中心にした看護になります。
長期的なケアを提供する医療療養病棟では、看護の基本に立ち返り、焦らず看護スキルを獲得することができます。
ゆっくりと時間をかけて信頼関係を築き、患者さんの生活を豊かにする看護の仕事に再び挑戦してみませんか?