看護師の復職場所として、有料老人ホームに興味のある方は多いと思います。
長いブランクを経ても、有料老人ホームでは看護師としての再スタートに優しい環境を提供します。
有料老人ホーム? 高齢者が生活する場?くらいしかイメージできない…
看護師の役割って何?
有料老人ホームで働く看護師には、高齢者の生活をサポートする重要な役割があります。これから具体的に説明していきますね。
有料老人ホームは、働く場所によって看護師配置の有無やそれぞれの特徴も違うので、事前の情報収集はとても重要になります。
ただ久しぶりの看護師復職には不安が伴います。
看護スキルの自信のなさや、それに伴う職場の人間関係など…
しかし、情報を得ることで不安を軽くすることができます。
この記事では、ブランクのある看護師が有料老人ホームで働くために必要な情報をまとめています。
ぜひ最後まで読んで参考にしていただけると嬉しいです。
有料老人ホームの種類
有料老人ホームは、主に以下に分けられます。
- 『介護付き有料老人ホーム』
- 『住宅型有料老人ホーム』
- 『健康型有料老人ホーム』
看護師の求人は主に『介護付き有料老人ホーム』『住宅型有料老人ホーム』が中心となっています。
有料老人ホームそれぞれの特徴
《介護付き有料老人ホーム》
入居対象者⇒自立、要支援1~要介護5
- 介護保険が適応される。
- 入居対象は施設の基準によって自立度が違う。
- 24時間スタッフが常駐している。
- 介護、生活支援、レクを提供。
- 看護師の配置が義務付けられている。
- 入居者さんの人数によって、看護師の人数が決められている。
- 夜間の看護師の常駐は義務付けられていないため看護師の夜勤がない施設もある。
- 看取りを受けている施設もある。
《住居型有料老人ホーム》
入居対象者⇒自立、要支援1~要介護5
- 要介護5の中でも介助量の少ない人が対象。
- 生活支援、緊急対応。
- 介護サービスは受けられない。
- 介護度が上がった場合は訪問介護や通所介護と外部の介護サービスを受ける必要がある。
- 訪問介護事業所やデイサービスを併設している施設も多い。
- 看護師の配置は義務付けられていないが、看護師を配置している施設は増えてきている。
《健康型有料老人ホーム》
入居対象者⇒自立
- 自立している人が入居できる。
- 要支援、要介護が必要になったら退去を勧められる。
- 提供しているサービスは家事のサポート、食事の提供。
- 事務や温泉、レクが充実している。
- ニーズが少ないため施設数は減少している。
- 介護、医療の提供を行っていないため必要時は外部のサービスを受ける。
- 介護や医療サービスの提供をしていないため、看護師の求人はほとんどない。
有料老人ホームで働く看護師の役割
入居者の健康管理
- 毎朝バイタル測定を行い、健康状態を管理しておく。
- 出来るだけコミュニケーションを図り、日々の変化に気づく。
- 入院や外来処置が必要になった場合は看護師が医療機関に同行する。
医療処置・薬の管理
- 薬の管理。
- 血糖測定やインスリン注射。
- 数は少ないが点滴や採血。
- 褥瘡や創処置。
- 在宅酸素。
- 喀痰吸引。
- 人工肛門ストマ管理。
- 鼻腔、胃瘻カテーテル管理。
- IVH管理。
日常生活の援助
- 嚥下障害のある方への食事介助。
- 排泄や入浴、更衣の介助。
- レクレーションに参加する。
看取り
- 看取りに力を入れている施設もある。
- 看護師は入居者の最後に寄り添う役割がある。
- 家族への対応も重要。
- 介護付き有料老人ホームでは、〚終の棲家〛として入居する方も多く、死亡による契約終了が過半数に及ぶ場合もある。
- 看取り加算がとれる。
有料老人ホーム看護師の配置基準
「3:1」
- 入居者3人に対し1人の看護師または介護職員を配置する義務がある。
- 24時間 「3:1」 ではなく、常勤の総数が「3:1」を最低満たしていることが条件となる。
- 基準を下回る場合は、介護報酬が減額されます。
有料老人ホームでは、看護師の人数が1人~2人という施設もあるため、ブランクのある看護師にとっては心細い環境にあります。
規模の大きな施設であれば、比較的人員に余裕があるためブランクのある看護師には安心です。
入職前に看護師の配置人数も確認する必要があります。
看護師の1日のスケジュール(例)
【8:30】 申し送り | 夜勤者からの申し送りを受ける。 |
【8:45】 朝のミーティング | 当日の予定確認など。 |
【9:00】 健康管理・バイタル測定 | 居室を巡回し変化がないか健康管理する。 入浴の判断、処置の実施。 |
【10:30】 内服薬の準備 | 昼の内服薬の確認、セッティング。 |
【11:00】 経管栄養の準備 | 昼の経管栄養の開始。 |
【12:00】 昼食の配膳、食事介助 | 誤嚥リスクのある人は看護師が食事介助を行う。 薬の与薬。下膳。 誤嚥リスクのある人は看護師が食事介助を行う。 薬の与薬。下膳。 |
【13:00】 休 憩 | 交代で休憩。 |
【14:00】 レクレーションで交流 | レクレーションに参加しながら入居者さんの体調の観察を行う。 |
【14:30】 カンファレンス | 入居者さんについて他職種と連携をとる必要がある。 |
【15:00】 記 録 | 入居者さんの体調変化を記録する。 |
【16:00】 夕食・経管栄養の準備 | 夕薬のセッティング、経管栄養の準備投与。 |
【17:00】 夕食の配膳、食事介助 | 夕食時、誤嚥に注意したり不穏になる入居者さんの対応もする。 |
【17:30】 業務終了 | 業務の最終確認が終わったら終了。 |
施設によってスケジュールの違いがあります。入浴や排泄の介助を行う介護スタッフとの連携を図り、異常の早期発見に努めることが大切です。
有料老人ホーム看護師のお給料
常勤(夜勤あり)
⇒430~500万円。
常勤(夜勤なし)
⇒350~400万円。
非常勤の場合
パート⇒ 1,600~1900円。
派 遣⇒ 1,800~2,300円。
ブランクのある看護師が有料老人ホームで働くメリット・デメリット
メリット
- 入居者さんとのコミュニケーションがとりやすい。
- 命に直結しない。
- 医療処置が少ない。
- 入退院がない。
- 入居者さんとじっくり関われる。
- 看護と介護で業務の区別がはっきりしている。
- 残業がほぼないため、ワークライフバランスがとりやすい。
残業がほとんどなく安定した時間で勤務できるため、仕事と家庭との両立が図りやすいです。看護師と介護士の業務がしっかり区別されている場合が多いので看護師は体力的な負担が少なく働きやすい職場といえます。
デメリット
- 看護スキルが身に付きにくい。
- 収入がやや低い。
- 入居者さんが常に同じ層。
- 入居者さんがケガや体調不良にあった場合、医療機関に付き添う。
- 施設によって夜勤やオンコールがある。
まとめ
有料老人ホームで働く看護師は、入居者さんや他のスタッフにとっても安心できる存在として、大変大きな役割があります。
医療行為も少なく、ブランクの長い看護師にとっても働きやすい職場といえます。
ただ常勤で働く場合は、場所によって夜勤があったりオンコール対応があったりと施設によっても違いがあるため事前の情報収集がとても大切になっていきます。
最低確認しておきたいポイント!
・夜勤、オンコールの有無。
・医療行為の内容。
・看護師の人数。
ブランクからの看護師復職にぜひ成功していただくよう少しでもこの記事を参考にしていただけたら嬉しいです。