ブランクからの復職場所にお悩みの看護師は多いことでしょう。
経験が浅いまま辞めてしまった… ブランクが10年もある…
など看護スキルに自信がないこともあり、復職の一歩がなかなか踏み出せない方もいると思います。
そこで看護師復職の場としておすすめしたいのが『回復期リハビリテーション病棟』です。
患者さんの生活の質の向上をサポートするこの環境は、看護師自身の成長にもつながり、再び医療の現場で活躍する絶好の機会となります。
リハビリ病棟の具体的なお仕事内容は?私にできるかな?
主にリハビリを中心にした生活を援助するのが看護師の役割になります。
ブランクから回復期リハビリテーション病棟で復職を考えている方に向けて、現役回復期リハビリテーション病棟看護師から伝える仕事内容、メリット・デメリット、大変なところ… など深堀して解説していきます。
この記事を最後まで読んでいただき、『回復期リハビリテーション病棟』の働き方の参考にしていただけると嬉しいです。
「回復期リハビリテーション病棟」の特徴
脳血管疾患や整形外科治療など急性期の治療を終えた患者さんに対して、リハビリテーションを行う場所になります。
医師、看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、栄養士、ソーシャルワーカーなど多くの専門職がチーム一丸となって回復能力の高いこの時期に密度の高いリハビリを行うことが重要となります。
就寝以外の生活全てをリハビリと捉え、身体機能を少しでも元の状態に近づけることを目指し、退院後の生活を見据えたリハビリに取り組みます。
回復期リハビリテーション病棟で入院対象となる疾患とそれぞれの入院期間が下記に記されています。
骨折など整形の患者さんは30代と若い方もいらっしゃいますが、ほとんどが80代前後の高齢の患者さんが入院しています。
入院対象となる疾患及び入院期間
傷病名 | 入院までの期間 | 入院期間 |
脳血管疾患・頭部外傷・脊髄損傷・多発性神経炎・脊髄炎など | 発症または手術後 2か月以内 | 150日 |
高次機能障害を伴った重症脳血管障害・重度の頸髄損傷・頭部外傷を含む多部位外傷 | 発症または手術後 2か月以内 | 180日 |
大腿骨、骨盤、脊髄、股関節もしくは膝関節、二肢以上の多発骨折または手術後の状態 | 発症または手術後 2か月以内 | 90日 |
外科手術または肺炎などの治療時の安静維持により生じた廃用症候群 | 発症または手術後 2か月以内 | 90日 |
大腿骨、骨盤、脊髄、股関節または膝関節の神経・筋または人体損傷後の状態 | 発症後1か月以内 | 60日 |
股関節または膝関節の置換術後の状態 | 発症後1か月以内 | 90日 |
「回復期リハビリテーション病棟」における看護師の役割
患者さんが自立した生活を送れるようADLに合わせたサポートをしていくのが看護師の役割となります。
日常の生活動作を常に評価し、他職種と連携しながらケアの質を高めていきます。
看護師のお仕事内容
- 基本は患者さんを寝たきりにさせないようにする。急性期でも状態が落ち着けば出来るだけ早くベッドから離床する(早期離床、早期リハビリ)が主流。
- ADL落さないよう出来るだけトイレ誘導する。
- しかし闇雲に離床させるのではなく体調を考慮しながら起こすようにする。
- 患者さんの疾患や状態を理解し、患者さんの限界を見極める力が必要。
- リハビリ以外の時間をどのように過ごすかが大事。
- リハビリ職と同じ目線で患者さんをみる
看護師は、患者さんの日常生活を出来るだけ自身で行えるようサポートしていくことがお仕事の基本になります。
そのためには患者さんの日々の生活動作に注目し、スタッフ間で評価していくことが大切になってきます。
看護師はリハビリ職と同じ目線で患者さんを看るために、リハビリ専用のスケールを使い、看護師とリハビリ間で共通認識するようにします。
回復期病棟に入院している患者さんの中には、認知症の患者さんも一定数おり、支持が入りずらいこともあります。
そのためベッドからの転倒転落のリスクも多く、常に注意していかなければなりません。
重度の認知症の方は、自身の出来る動作を認識しておらず、ベッドからの転落転倒のリスクが大きいため身体抑制をしている方もいらっしゃいます。
自宅への退院が困難な方は、回復期病棟から介護施設入所を希望する方もいるため、身体抑制が足かせになり入所困難になってしまいますので出来るだけ身体抑制を外していく方向にもっていくことも重要です。
回復期リハビリテーション病棟では患者さんの行動状況を常に把握しておく必要があり、スタッフ間で共通認識するためにカンファレンスが重要となります。
「回リハ病棟」看護師の1日のスケジュール
【8:00】情報収集
・受け持ち患者の情報収集
【8:30】ミーティング
・夜勤者からの申し送り
・本日の予定(IC,カンファレンス等)
・各職種より伝達事項
(リハビリ、介護士、栄養士)
・ショートカンファレンス
【9:00】オムツ交換・環境整備
・陰部洗浄、オムツ交換、トイレ誘導
・ベッドサイドの整備
【10:00】受け持ち患者対応
・検温、処置、点滴、ナースコール対応
・入浴や清拭のサポート
・入浴評価
・記録
【11:00】内服薬や経管栄養の準備
・昼の内服薬の準備、セット
・昼の経管栄養の準備、投与
【11:30】昼食の準備
・患者さんを食堂へ誘導する
・口腔体操
・血糖測定、インスリン注射
【12:00】食事の配膳、介助
・誤嚥しやすい患者さんの食事介助
・水分摂取も促す
【12:30】交代で休憩
【13:30】トイレ誘導
【14:00】カンファレンス
・リハビリスタッフと患者情報を共有する
・ADL評価を行う
【15:00】受け持ち患者対応
・臨検
・記録
・オムツ交換、トイレ誘導
【16:30】夜勤者へ申し送り
【17:00】退勤
ブランク看護師が「回復期リハビリテーション」で働くメリットデメリット
メリット
- 在宅あるいは社会復帰を目指している患者さんが対象なので、回復して退院される時の喜びと達成感を味わえること。
- 多職種と協力して患者様の状態をアセスメントできること。
- 命に直結しないため医療行為もほとんどなくストレスが少ない。
- リハビリ目線で専門分野が学べる。
- 回復期リハビリテーション認定看護師を目指せる。
デメリット
- 採血や点滴など医療処置が少なくスキルが身に付きにくいところ。
- 多職種との連携が多く、常にカンファレンスを通して患者情報を共有する事が多いためコミュニケーションが苦手な人にとっては合わないと感じるでしょう。
- ナースコール対応が多く、業務が中断されることが多い。
回復期リハビリテーションで大変なところ
- 回復期リハビリテーション病棟は、医療行為が少なく患者さんの状態も安定していますが、ナースコール対応が多くその都度業務が中断されることがあります。
- 患者さんが出来るだけ自力で日常動作が行えるよう見守りも大切になります。
- 介助したくなる場面もありますが、辛抱強く声掛けしながら自立に向けて援助していきます。
- 看護師としてどの程度サポートしていくかはカンファレンスで話し合っていく必要があります。
上記のように回復期リハビリテーション病棟看護師は、患者さんのADLに合わせた看護になるので自分のペースで働くことは難しいといえます。
常に他職種と評価していく必要があるため、積極的なコミュニケーションが苦手な方にはハードルが高いといえます。
『回復期リハビリテーション認定看護師』を目指せる
一般社団法人 回復期リハビリテーション病棟協会が主催で制度されたもので病棟における質の高い看護の提供や組織に対するリスクマネジメント、他職種共同によるチームアプローチの実践を行うことの出来る看護師を育成し、これを回復期リハビリテーション看護師として認定されることになりました。
回復期リハビリテーション認定看護師になるための条件
- 正看護師としての実務経験が5年以上あること
- 回復期リハビリテーション病棟勤務1年以上あること
- 施設長の推薦があること
回復期リハビリテーション認定看護師になるための手順
18日間の認定コース全日程に出席し、それによるレポートを提出し、合格の評価を得る。
認定コースの終了後、自らの課題を決めて回リハ病棟で4ヶ月以上の実践活動を行う。
全研修終了後6ヶ月以内に、その実践レポートを提出する。
以上の厳しい条件が求められます。
18日間の研修(45講義)は一流の講師陣による講義が行われ、幅広いプログラムが組まれています。
まとめ
ブランク看護師にとって働きやすい職場のひとつとして『回復期リハビリテーション病棟』を紹介させていただきました。
ひと昔前までは新人時代は急性期病棟で経験を積んでから他の分野で看護師業務を発揮していくということが常識でしたが今は違います。
高齢化社会に伴って回復期リハビリテーションの需要は今後も多くなっていくことでしょう。
そのため、回復期リハビリテーション看護師として長く従事していくことも可能です。
実際に私の働いている病院でも回復期リハビリテーションでの経験が長い看護師も多くいるので、それだけにやりがいのある人気の職業だといえま少ないす。
とにかく医療行為が少ない、命に直結することもないので病棟独特のピリピリした緊張感はありません。
いつも時間に追われてあくせく働き、医療ミスを起こしやすいという現場ではないため、ブランクのある看護師さんにはとてもおすすめしたい職場となります。